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マルベル/Sadya

ねえ、愛してる? 私を愛してる?
それならば体も心も将又呼吸さえも
全部、私に頂戴。
知ってる? 私は愛してる。
望むなら過去も未来も今の時間さえも
全部貴方のものだから。

不安定。荼毘に付す。
蝋燭を奪い取って。
「そう、良い子」
甘い崇拝。鬼胎、嬌声。
フワって浮かぶような
感覚とは違う味蕾。
「もう、居無いの?」
貴方は唯々。

骨の髄の髄まで。
爪の先の先まで。
明ら様な言葉を。
もっと、もっと、もっと、もっと!
息の音を奏でて。
渡る橋は針金。
貴方はまた狂ってしまったんだ。
その目の所為で。

どうか。

だって、可笑しいでしょう?
愛の言葉は不可視、不定形。
荊棘は甚だ浅はか。
きっと、踏み潰したドーナツの穴のよう。
「もう、要らないの?」
貴方は唯々。

揺り籠から墓まで。
疾うに歪な容で。
震えながら耳を塞いだ。
継いで、接いで、尖って、黙って!
抜いた針を分かって。
こんな私を許して。
貴方はまた腐ってしまったんだ。
この手の所為で。

どうか。
嗚呼、どうか!

愛してる。貴方を愛してる。
手に残る温もりも、祈りも、瞳の光さえも
全部、水になったんだ。

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