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ムジョウ/Sadya

痛みが霞む程寵愛を頂戴
『正しさ』は疾に崩壊
妬みや嫉みさえ粛正の対象
明日は雨が降るでせう
悪意を糧にする妖怪のやうだ
蔓延るは魑魅と魍魎
此れ以上の痛みなど無ひと云つた
其の面は笑つてた

惨めな結果、其れを望むから
朽ちてしまつた仮初の女神
右手に咲ひた血の花に接吻(キス)を
悔ひても終わつてんだわ
芥も同じさ
岸辺に着いた桃の実を一つ
深紅に染まつた剣を一振り
「生憎罪も持ち合わせちゃいないもんで」
幕が開ける

嗚呼、犇めく人の群れ
垣間見る般若の所業を
嗚呼、血を見て嗤うのか
改めよお前は傀儡
嗚呼、火を着ける管に
金棒は空を切りもせず
嗚呼、世は然も無情なり
さあさ、鬼さん。手の鳴る方へ。


潸々と? サア、目覚めよ武器を取つて
建前は捨てちまつて
自棄酒に浸る間も惜しむ程に
穢れを憎んでさ
粛々と沸く心に名前を頂戴
足枷目隠し状態
喜々として踊る虚ろひだ目には
また鬼が映つてた

「ああ、何度も何度も見るんだ。
 あの日確かに僕らは笑っていた」
「何度も何度も思うんだ。
 意味を持たない暴力、辟易すんね」
「考えたって無駄なんだ。
 奪う者は心を患っている」
「考えたって無駄なんだ?」
此処らは五里霧中
「また何度も何度も刺すんだ。
 次に持ち越す気力も無い程に」
「何度も何度も奪うんだ。
 次に持ち越す気力も無い程に」
「考えたって無駄なんだ」
「思考を手放すのが偉いのか?」
「考えたって無駄だから」
『もう終わらせよう』

嗚呼、犇めく人の群れ
垣間見る般若の所業を
嗚呼、血を見て嗤うのか
改めよお前は傀儡
嗚呼、火を着ける管に
金棒は空を切りもせず
嗚呼、弱さも無常なり
さあさ、鬼さん。手の鳴る方へ。

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